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@虎ノ門協同法律事務所
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年俸調停
 本日、柴原洋選手並びに代理人の毛利倫弁護士及び私が、福岡ソフトバンクホークス球団との契約更改交渉を行いました。

 残念ながら年俸(野球協約では正式には「参稼報酬」と言います)自体については合意に至りませんでした。柴原選手と球団とは、今後は野球協約に基づく参稼報酬調停手続(協約94条)で解決することを合意いたしました。

 ここ10年ほどの間には、2000年オフの下柳選手(北海道日本ハムファイターズ)、2007年オフの佐藤選手(埼玉西武ライオンズ、但し調停は開始されず)の参稼報酬調停申立しかなく、この調停制度はよく知られていません。

 柴原選手のファン、そして福岡ソフトバンクホークスのファンが心配をされていると思いますので、何が問題になっているのか、今後どのような解決となるのか正確に御理解いただきたいと思い、長文となりますが説明を致します。

 ここで説明している内容は、全て、本日の交渉後の記者会見で明らかにしている内容です。しかし、新聞の紙面では紙幅に限界がありますので、詳細に伝えられないこともあろうかと思ってブログを利用しました。

 柴原選手自身は、地元福岡で生まれ、育ち、ファンの声援を受けてホークス一筋で野球をしてきました。選手であるかぎりホークスのユニホームを着てプレーし、現役を退いてもホークスと共に歩むことを願っています。

 球団が柴原選手に対して、2010年12月10日に提示をした更改金額は、野球協約の減額制限を大幅に下回る金額でした。

 柴原選手の昨シーズンの成績は、残念ながら満足いくものではなく、今回の契約更改にあたり年俸が減額となること自体には柴原選手としても異存がありません。

 しかし、12月10日の交渉は、
第1に、交渉における球団の対応の仕方の点で、
第2に、球団からの提示額が従来の球団の基準に基づく金額よりはるかに低く、かつ、統一契約の減額の最大額をも大幅に下回るという点で、
柴原選手は、福岡ソフトバンクホークスは柴原選手を必要としていない、戦力外通告に等しい提示という受け止めをしました(12月10日の第1回交渉を報じる翌日の新聞のとおりです)。

 第1の点については、すでに新聞や週刊誌で報道されているところですから、第2の点についてのみ説明します。

 福岡ソフトバンクホークスの2009年オフまでの新年俸の決め方の大枠は、<球団の前シーズンの成績査定>+<過去実績の評価>というものです。

 柴原選手の2008年オフの新年俸の決め方で、2010年の成績を基礎として算定するならば、2011年年俸は2010年年俸よりは減額となるものの、柴原選手としては直ちにサインできる金額となります。

 しかし、今回の球団の当初提示金額は、従来の新年俸の決め方で算出される金額の約40%の金額でしかないのです。

 どうして、従来の方法どおりの提示がなされなかったかというと、査定方法を変更したという説明でした。新しい査定方法は、従来の査定方法に比べて、前シーズンの成果の評価割合が高くなるものでした。

 一般企業で言えば、過去実績を総合考慮する賃金体系から単年度の成果主義的要素を大きくする成果主義的賃金体系への変更がなされたというイメージでしょうか。

 通常、企業がこのような重要な制度変更をする場合には、
第1に、社員に対して、事前に説明し理解を得る手続を取り、
第2に、制度変更により不利益を受ける者に対する緩和措置を取る(一般的には、若い頃には、過去実績が強調される賃金制度では成果主義的賃金体系よりも低額に抑えられ、一定の年齢に達した時に成果主義的賃金体系に変更されることでまた低額に抑えられるという不利益を受けます)
ことが常識とされています。

 しかし、2010年オフの福岡ソフトバンクホークスの場合には、シーズンが終わってから、算定方法を変えることを選手に告知したという点で、このような一般常識に合致した取り扱いはされませんでした。

 さらに、緩和措置の点では、新聞報道と柴原選手の説明によれば、球団は、柴原選手以外の選手については、従来の査定方法と新しい査定方法を選択できるという緩和措置を提案しているという事でしたが、柴原選手に対しては、このような選択制度は認めないという提案がなされませんでした。←代理人が就任後に球団から受けた説明では、新旧両方の評価制度を総合考慮した金額であるとの説明で、当初とはややニュアンスが異なっています。

 日本のプロ野球選手と球団との契約内容は、統一契約書及び日本プロフェッショナル野球協約2010に基づき合意されています(協約45条)。

 野球協約では、「次年度選手契約が締結される場合、選手のその年度の参稼報酬の金額から以下のパーセンテージ(1億円超の選手は40%、1億円以下の選手については25%)を超えて減額されることはない。」(協約92条、統一契約31条)と減額制限をしています。

 野球協約では、球団には、支配下選手が他の球団と契約することを禁止する「保留権」という強大な力を与えられています。一方で、他の球団との契約を禁じながら、青天井の減額を強制することを認めることは、選手側に重大な不利益を与える事になりますので、報酬の減額制限が定められているのです。野球協約は、選手のみならず球団をも拘束します。

 今回の球団提示額は、この協約のルールを下回るものであり、この点でも柴原選手は納得できませんでした。

 昨年末から球団とは予備折衝を含めて協議を重ね、本日が事実上最後の交渉となりました。

 柴原選手は、本日は、他のホークスの選手と同じように従来の年俸決定方式を選択し、この方式で算出された金額を提示しました。

 これに対して、球団側は、
当初提案に若干の上積を回答しましたが、従来の年俸決定方式は採用できないと柴原選手の提案を拒絶しました。

 救われることが1点だけありました。本日の交渉では、冒頭、球団代表から柴原選手に対して、2011年シーズンで柴原選手が活躍してくれることを期待する旨のメッセージが読み上げられたのです。

 柴原選手は、球団代表のこのメッセージで球団とやっと心がつながったという思いでした。

 柴原選手は、大幅に譲歩しても本日交渉をまとめて、今シーズンで十分な成績を残せるように充実した自主トレを気持よく開始したいと思い、さらに譲歩し、野球協約が定める最大限の減額幅で算出された年俸に応じるとの再提案をしました。

 しかし、球団はこの柴原選手の再提案にも応じられないとの回答で、野球協約の減額制限を超える金額でなければ合意できないと態度は変更しませんでした。

 以上のような経過で、これ以上球団と柴原選手との交渉では解決が得られないとして、柴原選手が2011年シーズンを福岡ソフトバンクホークスの選手として日本一をめざすことを決め、年俸については野球協約に基づく調停に委ねることとしました。

 野球協約の上で、これ以上減額してはならないと決まっているにもかかわらず、球団が野球協約を遵守しようとしないのは大変残念なことです。

 柴原選手は、充実したシーズンとなるように、今後の契約更改については代理人に委ね、本日から自主トレに専念することとしました。

 私たちは、柴原選手の代理人として、連休明けの11日には、コミッショナーに対して、参稼報酬調停を申し立てる予定です。

 従前の例を見ますと、早ければ来週中にも調停委員会が柴原選手と球団から事情を聴取し、数日後には調停の結論が出されると思われます。

 調停委員会が、野球協約を遵守した調停をされることを信じております。柴原選手は、調停委員会が示した年俸で2011年福岡ソフトバンクホークス選手の一人としてプレーする決意です。

 経過と今後の予定は以上です。

 柴原選手そして福岡ソフトバンクホークスを応援してくれるファンの皆様が、柴原選手に温かい声援を送っていただけることを願っております。
posted by koichi | 22:19 | スポーツ | comments(1) | trackbacks(0) |
コメント
柴原選手はホークスに欠かせない存在です。納得のいく形で今年も日本一目指して頑張ってほしいと思ってます。
2011/01/13 23:23 by ケロ
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