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@虎ノ門協同法律事務所
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特別調査委員会最終報告
 「故意による無気力相撲」(八百長と同義というのが放駒理事長の説明ですので、ここでは一般的に使われている「八百長」と言います)を調査する特別調査委員会は、本日の第12回会議で最終報告をまとめ、放駒理事長に提出をしました。

 ガバナンスの整備に関する独立委員会の報告が終了すれば、私は、日本相撲協会からは基本的に卒業させてもらう予定でしたが、八百長問題発覚で卒業延期になっていました。3か月遅れでようやく卒業となりました。

 私が日本相撲協会を卒業するにあたっての感想は3点です。

 1点は、「失敗から学ぶ」ということはやはり重要だったなということです。「失敗から学ぶ」は、私が事故対策などを語る時に必ず使うキーワードです。日本相撲協会は、野球賭博問題の失敗から学び、必要な対策を講じました。記者の方々からは、「まだ学び方が足りない」との指摘もあろうかと思います。もう、改善すべき点はないという状況ではありませんので、この指摘は私も同意できます。

 しかし、昨年の6月の日本相撲協会の体制で、この八百長問題という津波が来ていたら、日本相撲協会が適切な対応をできず、津波に日本相撲協会自体が流されてしまっていたかもしれません。

 その点では、昨年の野球賭博問題があり、その失敗から学んでいたからこそ、八百長問題が発覚した当日には、特別調査委員会を発足させ、第1回会合まで行うという迅速な対応ができたと思っています。「失敗から学ぶ」ことができていたので、俵に足がかかっても何とか踏みとどまったのです。⇒「禍を転じて福となす」参照

 2点目は、過去に遡って全容が明らかになったのかという質問に対する回答です。この質問をされる方が、どこまで遡ってという趣旨で質問されているかは分かりません。
 
 人間ができる作業は、黒と認定できるか、認定できないかの作業です。刑事事件で言えば、有罪か有罪でないか(無罪か)でしかありません。無罪は、有罪でないというだけであって、疑わしさが0になった=消滅したということではありません。

 神様であれば、黒の判断をするだけでなく、白の判断もできるでしょう。しかし、人間ができる判断は、証拠に基づいて関与したと認定できるか、認定できないかであって、白の判断まではできません。

 「黒のみならず白もはっきりさせるのが全容解明」だと言われれば、八百長問題は、全容解明とは言えないことになりますが、このような作業は神様しかできません。人が行えることは、黒か黒でないかを証拠の存する範囲で判断できるだけです。神様でない特別調査委員会は、現時点において収集可能な証拠をすべて集約した結果、最終の判断をしているものです。可能なことはやり尽くしたものであり、この点ではやり残した作業はありません。

 3点目は、<あってはならない>と<ありえない>は同義ではないという点です。

 今回、八百長にかかわった力士も、入門当初から八百長をしようと考えていたのではありません。入門後途中までは誠実に精進をしてきた力士が、ある時から八百長に手を染めていったのです。このような<あってはならない>八百長は、全てのスポーツにおいて常に生じる危険があるのです。大相撲だけが例外で<八百長などありえない>などということはありえません。

 5月9日には、国際サッカー連盟(FIFA)が「八百長」を防止するために国際刑事警察機構(ICPO)に10年間で23億2000万円を寄附することが報じられています。昨年秋に開催されたアジアスポーツ法学会での関心を集めたテーマの一つはスポーツにおける八百長対策です。

 このように、全てのスポーツで、あってはならない「八百長」ですが、「八百長」が存在する可能性は常にあると考えて、継続的な防止策をとり続けることが必要なのです。

 <あってはならない>と<ありえない>とを同義にしてしまうと、東電の福島原発の安全対策と同じ誤りを繰り返すことになります。

 話が飛んでしまいますが、アエラの5月23日号(今発売されているもの)では、「浜岡の次に止める原発」という企画で、原発の識者の人たちに「危険な原発について優先順位を付けて」と尋ねています。

 「全ての原発が危険で順位のつけようがない」という回答には、「それもそうだな」と思ったのですが、この事態に至っても、「日本の原発は全部安全である。危険な原発など存在しない」と言い切る人がいたのには本当に驚きました。このような人に、日本の原子力政策が任されていたのかと思うと本当に暗い気持ちになってしまいます。

 <あってはならない八百長>であるが<八百長は生じやすいものである>という認識で防止策が必要だということです。<あってはならない>と<ありえない>を同義にしてしまうと的確な防止策が取れず、福島原発の失敗を繰り返すことになります。

 私は、日本相撲協会の暴力団等排除対策委員会委員の仕事は残りますが、その外の仕事は全て卒業となりました。日本相撲協会協会員のみなさん、報道関係のみなさん、お世話になりました。みなさんの協力・援助に深く感謝します。今後も、伝統ある大相撲文化が発展することを見守っていきたいと思っています。
posted by koichi | 17:37 | スポーツ | comments(0) | trackbacks(0) |
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