沖縄県スポーツ協会が「暴力・暴言・ハラスメント」についてのアンケート結果を、2024年3月21日、発表しました。
この発表は、「『怒鳴る指導』を許容する親31%、全国平均上回る “スポハラ”保護者の3割が見聞き 沖縄県スポーツ協会が初の意識調査」(沖縄タイムス社)、「『怒鳴る指導』 保護者の3割が容認 沖縄県スポーツ協会が調査」(琉球新報)との見出しで報じています。
私の意見は長文となるので、ホームページに掲載しました。
スポーツ指導における「暴力・暴言・ハラスメント」は、なかなか打ち破ることができない課題です。
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デイリースポーツ 毎日新聞 スポーツ報知 日刊スポーツ サンスポ NHK IBC岩手放送
メディアは、「岩手県高野連に対して情報提供があった同校野球部に憲章違反が疑われる事象について、複数回にわたり同校へ調査の実施と結果の報告を求めていたが、応じなかった。」と報じている。
2010年の日本学生野球憲章の改正作業にかかわった一人である私は、全学生野球関係者が憲章の目的を理解し、憲章が保障している権利を実現するために、適切な対応をすることを願っている。
憲章は、「学生は、合理的理由なしに、部員として学生野球を行う機会を制限されることはない。」(第4条第1項)、「部員は、本憲章に基づく学生野球を行う権利を有する。」(同条第3項)と定めている。
憲章違反行為が放置され、「学生野球を行う機会」・「学生野球を行う権利」(第4条第3項)が侵害されることは許されないことは当然である。
憲章は、学生野球団体である日本高等学校野球連盟に対して、「本憲章及び関係する学生野球団体の定める規則を遵守する」義務を課し、「本憲章の理念に基づく学生野球の実現を目指す。」(第5条)と責務を定めている。
日本高等学校野球連盟は、憲章の定めるところによって、
(1) 当該野球部に対して「学生野球を行う機会」・「学生野球を行う権利」(第4条第3項)が侵害されるという事実の有無を確認し、
(2) 仮に「学生野球を行う機会」・「学生野球を行う権利」(第4条第3項)が侵害されているならば、これを迅速に救済しなければならない。
その意味で今回の措置は必要不可欠である。憲章違反行為が発覚したのは昨年8月。もう半年が過ぎている。部員の側から見ると、高校3年間の6分の1が経過して解決をしていないことを示している。
憲章遵守義務(第5条)は、「野球部、部員、指導者」も担い手である。憲章は、「加盟校の学校長は、本憲章に基づく加盟校の義務を遂行するための最高責任者である。」(憲章第7条第1項)と学校長の重い責任と大きな権限を定めている。
「学校長」の用語は、高校では「校長」、大学では「学長」との呼称が一般的であるため、この両者を含むものである。
憲章遵守義務(第5条)がある「野球部、部員、指導者」・「加盟校の学校長」は、本来は日本高等学校野球連盟の厳重注意を受ける前に、憲章で保障された「学生野球を行う機会」・「学生野球を行う権利」(第4条第3項)を率先して守らなければならない。
高校野球部(報告の主体は校長となる)が、報告を怠り2度の厳重注意を受けるという例は聞いたことがない異常な状況である。
2度目の厳重注意を契機に、盛岡誠桜高校の校長のみならず、部長・監督・コーチ等の指導者が一丸となって適切な対応すること願っている。
PS 2月27日にホームページに「日本高野連の盛岡誠桜高校野球部に対する厳重注意−高校運動部活動と競技団体の規則との関係−」を掲載しました。
JUGEMテーマ:高校野球
JUGEMテーマ:浦和レッズ
本日、「浦和レッズ第三者委員会公開シンポジウム」が浦和市で開催されます。
天皇杯JFA第103回全日本サッカー選手権大会ラウンド16(4回戦)名古屋グランパス戦(2023年8月2日、CSアセット港サッカー場)において、浦和レッズサポーターによる?フィールドへの飛び降り、?相手サポーター及び警備運営スタッフに対する暴力等の試合運営管理規程違反行為が生じました。
浦和レッズは、直後からクラブとして行える対応を行ってきましたが、さらに必要な措置を検討するために、本事案に限らず、過去において発生した試合運営管理規程違反事案とそれらに対する弊クラブの対応を分析し、再発防止施策と教育・啓発施策を検討、実施することを目的に、社外有識者からなる第三者委員会(委員:8名)を立ち上げ、2023年11月14日から調査と分析をしてきました。
私も委員の一人です。
第三者委員会は、これまで20名近くの方々からヒアリングを実施し、さらに国内・海外における類似事案等を研究材料として、
(1)不適切行為の原因分析
(2)クラブが講じてきた対策についての評価と問題点の洗い出し
(3)今後の必要な対策についての提言検討
という3つのテーマに沿った分析、検討を行ってきました。
これらの分析、検討に基づき、第三者委員会からクラブへ、報告、提言を行うために本シンポジウムを開催するものです。
すでに定員に達して締め切られていますが、シンポジウムの内容は、浦和レッズは、「本シンポジウム開催翌日となる2月17日(土)に、弊クラブオフィシャルサイトへ書き起こしを含むレポートを掲載させていただきます。」と案内をしているところです。
最終的な提言書は3月にまとめる予定です。みなさまの御意見をいただければ幸甚です。
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JUGEMテーマ:高校野球
野球文化學會第7回研究大会に参加してきました。
田名部和裕さん(日本高等学校野球連盟顧問)、中村哲也さん(高知大学准教授)、吉田勝光さん(桐蔭横浜大学名誉教授)が野球文化學會で活動をされているのは存じ上げていました。しかし、私もなかなか新たな分野まで手が回らず、野球文化學會には参加できていませんでした。
2024年第7回研究大会は、「甲子園球場100年と高校野球」がテーマです。田名部さんが基調報告者で、「高校野球:改革の契機」で報告をしました。
私は、2007年の高校野球特待生問題有識者会議メンバー、2010年日本学生野球憲章全面改正作業担当者、2008年からは日本学生野球協会審査室委員ですので、この研究会には参加しておかなければならないと思っての参加です。野球文化學會にも入会しました。
西武ライオンズは、2007年3月9日、当時の大学生と社会人野球選手に対し不正な金銭供与があったことを公表しました。西武ライオンズが設置した調査委員会は、4月4日、中間報告で、1987年の球団創立から2005年6月の倫理行動宣言までの27年間で高校・大学・社会人野球の監督等延べ170人(内高校生76人)に最高1,000万円の現金や商品券渡していた事実を発表しました。
日本学生野球憲章(当時)第13条第1項は、「選手又は部員は、いかなる名義によるものであっても、他から選手又は部員であることを理由として支給され又は貸与されるものと認められる学費、生活費その他の金品を受けることができない」と定めており、野球部員であることを理由とする経済的援助を受けることは日本学生野球憲章違反でした。学ぶ意欲がありながら経済的な事情から高校進学が困難な生徒に対する奨学金は認めるも、学費免除を理由に有力選手を集めることは許さないという制度でした。
日本高等学校野球連盟は、専修大北上高校における野球部員の金銭授受の実態を調査したところ、同校は、4月12日には、授業料免除等特待制度の存在を認めました。日本高等学校野球連盟は、4月24日、独自に全国調査を実施したところ、5月2日までに加盟校4,167校の内約1割に当たる376校で野球部員であることを理由として学校が選手に入学金や学費免除等の特典を与えていたことがわかりました。
日本高等学校野球連盟は、「野球特待生制度」実施校及び野球部に対して、
(1) 「野球特待制度」の実施校を公表、
(2) 「野球特待制度」としての「奨学金」等の解約措置を取ること、
(3) 「野球特待制度」実施校は、申告時をもって責任教師(野球部長)を退任させ、代替の責任教師を委嘱、所属連盟に届け出ること、
(4) 「野球特待制度」実施校野球部の対外試合禁止措置はとりませんが、「野球特待制度」に基づき経済的利益を得た選手は、本来憲章13条違反として大会参加資格がないとみなされるところ、学校長の指導措置により5月3日以降、同月末までの対外試合参加を差し止める、
(5) 「野球特待制度」実施校野球部責任教師は、引責辞任とし、別途日本学生野球協会審査室の審議を経て有期の謹慎処分とする、
等の措置を発表しました。
違反校が当初の予想を超えて広がりを示したため、関係者は、日本高等学校野球連盟は「野球特待制度」の存在を知っていながら適切な措置を講じてこなかったとの批判が渦巻きました。「息子は声がかかったいくつかの高校から選んで特待で入学したが、特待が憲章違反とは知らなかった。無知だったのが悪いのか。処分されるべきは特待禁止を徹底してこなかった高野連だ」(高校球児の親)。
この措置が講じられたのは、各地区の春季大会期間であったため、春季大会は、チームとしての参加の辞退、特待生以外のメンバーでの出場等混乱を極めました。山梨県では、準々決勝で対戦するはずだった日本航空高校と東海大甲府高校がいずれも辞退して、準々決勝が不成立。このため、市川高校が準決勝の対戦相手不存在で不戦勝となり決勝進出。山梨学院大学附属高校が準々決勝辞退のため、同校に3回戦で敗れた甲府城西高校が復活して準々決勝に進出という混乱となりました。
さらに、日本高等学校野球連盟の処分内容の「野球部責任教師を退任させ」、「引責辞任」という表現に厳しい批判が集まりました。この表現は、所属連盟に登録された責任教師(野球部長)が謹慎処分を受けると、その学校が引き続き大会に参加するためには、別の教員を改めて責任教師として登録変更することを説明したものでした。しかし、不正確な表現であるため、当該校が謹慎処分を受けた当該責任教師を交代させた後の処遇については、当該学校長の専決事項であるにもかかわらず、日本高等学校野球連盟が教師としての退任、辞任を指示しているかのように受け取られ、批判を受けました。
日本高等学校野球連盟の「野球特待制度」実施校に対する措置に対し、私学関係者から「スポーツ特待生制度は私学の特色のひとつであり、これを制限するのは私学の経営に係わることで外部の団体から制限されるのは不当である」、「他のスポーツは認めているのに野球だけがダメだというのは不公平である」、「学生野球憲章13条は時代遅れで見直すべきである」等と反発がありました。
日本高等学校野球連盟は、5月11日には、
(1) 「野球特待制度」で学校からの奨学金の受給ができずに、転退学を余儀なくされる生徒については、奨学金の継続受給を認め、
(2) 「野球特待制度」実施校の責任教師(野球部長)の処遇についても「5月末までを自主的な謹慎期間とし、6月以降は復帰することを容認しました。
日本高等学校野球連盟の上記対応は、「朝令暮改」として、さらなる批判を招きました。
衆議院の教育再生特別委員会や文教科学委員会でも文部科学大臣に対し、この問題に関し質疑が行われるという波紋を広げ、自民党文部科学部会(吉村剛太郎会長)と文教制度調査会(河村建夫会長)では、5月31日に高校野球特待制度問題小委員会(塩谷立委員長)を立ち上げ、6月21日までに4回の会合を開き、関係団体からの事情聴取を行い、学生野球憲章の見直しや、全国高等学校体育連盟の中に高校野球連盟を入れるべきですと、組織自体の体質改善を迫る意見がありました。
このような、様々な議論が起こる中、日本高等学校野球連盟は、当初は、連盟内に「特待生問題私学検討部会」を設置し(第1回会合5月25日)て解決を目指しましたが、「野球特待制度」についての様々な意見が交錯し、早期の意見取りまとめは困難でした。
日本における野球は、1872(明治5)年に明治政府のお雇い教師ホーレスウイルソンによって現在の東京大学の前身・第1大学区第一番中学の生徒に紹介されたのが始まりとされています。着任したウイルソンは、受け持った学生たちの体格が貧弱で、顔色も悪かったことから、「まず戸外に出て身体を鍛えろ」とベースボールを学生に教えました。
ベースボールは、順次旧制高校や各地の中学校の生徒たちの間に「野球」が広まり、夢中になる学生の姿を見て、1911(明治44)年、朝日新聞社が、「野球害毒論」キャンペーンを展開し、当時第一高等学校校長だった新渡戸稲造らも、野球は学生たちにとって学業の妨げになる等と有害論を主張しました。一方、早稲田大学の初代野球部長となった安部磯雄らは、野球を通じて立派な青少年を育成することができると擁護論を展開しました。
昭和初期、再び学生野球の行き過ぎが懸念され、ついに政府が規制に乗り出し、1932(昭和7)年文部省訓令として「野球統制令」が発布されました。その中で、「選手ハ選手タルノ故ヲ以テ学校マタハ学校ヲ背景トスル団体等ヨリ学費其ノ他生活費ヲ受クルヲ得ザルコト」「野球ニ優秀ナルノ故ヲ以テ入学ノ便ヲ与ヘ又ハ学費其ノ他ノ生活費ヲ受クルガ如キコトヲ条件トシテ入学ヲ勧誘セザルコト」と規定されました。
1946年12月、文部省に代わる学生野球の指導、監督機関として日本学生野球協会が設立され、野球統制令は、1947年5月廃止されました。日本学生野球協会は、1949年1月、学生野球基準要項を改正、学生野球憲章を制定しました。日本学生野球憲章(当時)第13条第1項は、学生野球の過熱を防止する目的で、上記野球統制令の規定を踏襲したものでした。
2007年にいたっても、憲章第13条第1項は、75年前の1932(昭和7)の野球統制令の規定のままでした。
この間に、野球以外でのスポーツにおいては、特待生制度が広範に存在するようになり、高校野球での活躍で、学校名を普及させ、生徒を広く募集するという私学の経営戦略の一部として特待生制度が使われるようになりました。
日本高等学校野球連盟は、西武球団の裏金問題が発覚するまでの間に、「野球特待制度」が水面下で存在している疑いを持つことは可能であり、憲章第13条違反の実態がここまで広範になる前に調査をし、是正させること、あるいは、一定の条件下での「野球特待制度」を容認することは可能でした。
しかるに、日本高等学校野球連盟は、憲章第13条違反行為に対する適切な対応を怠ったのが、2007年の高校野球特待生問題の原因です。
「あってはならない」が、時を経ることで「あり得ない」になってしまった失敗です。福島の原発事故、日本相撲協会の八百長問題とも共通するガバナンス上の原因がありました。
日本高等学校野球連盟は特待生問題の解決のために有識者会議を設置しました。有識者会議設置前に田名部さんからは非公式にいろいろ相談を受けていました。
当時のメディアの論調は、日本高等学校野球連盟は「閉鎖的」「硬直的」というものであり、世論の大勢も同様でした。
日本高等学校野球連盟が自前でどんなにすばらしい取り組みをしても、「お手盛り」として正当な評価を受ける環境にはありませんでした。このような背景で、有識者会議の設立となったものです。
2010年の日本学生野球憲章全面改正後14年が経過しました。
この14年間にスポーツ界では様々な問題が生じました。日本高等学校野球連盟に対する「閉鎖的」、「硬直的」という評価はなかなか変化しませんが、実は、
(1) プロアマの60年の断絶の修復、プロ野球現役選手によるシンポジウム「夢の向こうに」の取り組み、
(2) 高校野球指導者の育成システムである「甲子園塾」のスタート、
(3) ボールカウント⇒ストライクカウントという日本のローカルルールを国際標準に変更する取り組み、
など幾つかの変化は実現しており、その変化の原動力となっているのは田名部さんだと思って見ていました。
また、「暴力・暴言・ハラスメント」の問題では、学校や教育委員会が「隠蔽をはかる」と考えた被害者とその関係者が、日本高等学校野球連盟なら隠蔽しないだろうと、日本高等学校野球連盟直訴するケースが多いのは他のスポーツ団体との違いの特徴です。この点では日本高等学校野球連盟は、他のスポーツ団体にない信頼を得ています。⇒高校野球の「暴力・暴言・ハラスメント」の問題は、中村さんの「体罰と日本野球」もぜひ一読ください。私の意見は、日本部活動学会における報告のとおりです。
質疑応答では、「暴力・暴言・ハラスメント」に厳しい立場の発言もありましたが、「『暴力・暴言・ハラスメント』に頼らない指導を求めるために必要なこと」について参加者の共通認識になっているとは思えませんでした。
私は、日本スポーツ少年団常任委員、日本スポーツ協会倫理・コンプライアンス委員会処分審査会、日本学生野球協会審査室委員としてスポーツ団体の運営にかかわってきています。
日本高等学校野球連盟も努力はしていますが、課題が多いので、残された課題については、他のスポーツ団体と比較すると、日本高等学校野球連盟の変化のスピードは速いとは言い難いと感じています。
もっと率直に言えば、私が何度意見をしても、日本高等学校野球連盟は、慣性の法則にしたがって行動するため、「舵」を切ろうとしませんし、「舵」を少し切っただけでは船体が大きいのでなかなか進路は変わらず、問題の解決に至っていないという感想です。
相撲協会の大麻問題・野球賭博問題・八百長問題の第三者委員会や全日本柔道連盟の強化留保金の第三者委員会として対応を担当したときには、これらのスポーツ団体の内部の常識と社会の常識との乖離がありました。この認識の乖離がスポーツ団体の危機を招き、解決に困難を与えるかを実感しています。
日本高等学校野球連盟は、他のスポーツ団体に比べてすぐれた部分も多くありますが、「社会の変化に伴う自己変革を遅れることなく実施することが求められている」という課題に答えてくれることを願いながら、参加した野球文化學會の研究集会でした。
私は、2016年に鳥取県高等学校野球連盟の「暴力・暴言・ハラスメント」に頼らない指導をテーマにした企画の講師で、米子空港⇒倉吉の会場にうかがってから8年ぶりの鳥取県訪問です。
スポーツ事故予防の取り組みでは、競技団体との共同・協同が重要と考えており、日本中学校体育連盟、日本高等学校野球連盟とはかねてから踏み込んで共同事業に取り組んできており、「これで防げる学校体育・スポーツ事故」シンポジウムも共催してきました。
全国高等学校体育連盟とは、連絡が十分に取れておらず、これまで十分な共同・協同が実現できていませんでした。
日本スポーツ法学会、日本スポーツ法支援・研究センター、スポーツ・ロイヤーズ・ネットワーク及び「これで防げる学校体育・スポーツ事故」シンポジウム事務局などの有志メンバーは、「これは改善しなければ」と考えて、昨年末、全国高等学校体育連盟にご挨拶にうかがいました。その際の意見交換から、今回の第58回全国高等学校体育連盟研究大会にオブザーバーで参加することが実現しました。全国高等学校体育連盟と研究集会を支えた鳥取県高等学校体育連盟には、直前の参加を認めていただき心から感謝です。
人口減少が進むなかで、少子化・1校当たりの生徒数の減少という状況下で部活動が様々な困難に直面をしている中で、各地域・学校、各競技で工夫を凝らした取り組みが報告されていて、大変感動しました。
私が参加した分科会では、壱岐高校野球部と壱岐商業高校野球部の顧問の先生の共同報告がありました。離島は人口減が著しく、高校進学時には離島の高校に進学をしない子どもが増加していること、練習試合をするにも島内だけでは限界があり、フェリーなどの移動に時間と費用がかかるという困難があり、部活動はより厳しい環境下にあります。
壱岐の先生方は、困難な中でも工夫を凝らし、壱岐に練習試合で来る高校野球部を求めるなどの練習試合の機会を増やす取り組みなどで野球部活動を支え、壱岐商業高校と対馬の高校野球部との合同チームが長崎県大会ベスト8までいくことができた経験を語っていました。
中学校と高校の部活動交流も離島や過疎地域の部活動の底上げには重要な視点です。
日本高等学校野球連盟は、高校野球部が、野球の競技力の高い中学生をいわゆる「青田刈り」することの弊害を予防するための規則を設けています。
これは、現在でも、看過できない弊害があり、必要な規則です。
しかし、社会情勢の変化は急激に進んでおり、部活動が、それ以上に高校が消滅しつつあるような地域において、中学校と高校が共同して、野球人口を確保する取り組みを可能とするような、社会情勢の変化に対応した柔軟な規程の運用が求められています。
この社会情勢の変化を競技団体である日本高等学校野球連盟、日本中学校体育連盟が機敏に捉えて、対応することが求められていると思いました。
また、全国高等学校体育連盟研究集会はすぐれた企画です。私が知っている範囲では、同様な企画は日本高等学校野球連盟は実施していないようです。
研究集会を全国高等学校体育連盟と日本高等学校野球連盟で共催で実施することはできないのでしょうか。
部活動を巡る問題は、野球部のみならず、他の競技とも共通する課題が多く、相互交流は、日本高等学校野球連盟にも全国高等学校体育連盟にも利するところが多いと思っております。歴史的な経過で、高校の運動部の組織は、全国高等学校体育連盟と日本高等学校野球連盟が併存しておりますが、戦後80年、共同協同の関係を深めることは必要なのではないでしょうか。
壱岐の高校野球部取り組みは、長崎県全国高等学校体育連盟が、野球を特別視することなく、全国高等学校体育連盟研究集会に参加できたということですが、余り例が多くないようです。
全国高等学校体育連盟研究集会(鳥取)と同一日程で日本中学校体育連盟研究集会が京都で開催されました。慌ただしかったのですが、私たちはハシゴでこちらも参加しました。全国中学校体育大会研究集会は改めて報告します。
令和4年度までは、日本スポーツ振興センターが受託事業者でしたが、今年から受託事業者が変更になった関係で、広報が遅れているようなので、広報のお手伝いです。
「体育・スポーツ活動での事故を防ぐために!」をテーマに、「学校等での体育・スポーツ活動での事故防止の意識啓発及び取組の充実を図るこを目的とし、事故の発生の背景や要因を把握・分析し、再発防止のための留意点や方策について、広く関係者で共有する。」ことを内容としています。
参加対象者は、「教育委員会職員、学校の管理職、保健体育科教員、養護教諭、運動部活動顧問・外部指導員、スポーツ関係団体、教員養成を行う大学関係者・保護者、教員養成課程に通う大学生等で、体育やスポーツ活動の安全・事故防止に関心のある方々」です。
2024年2月15日まで6会場で開催されます。一部実施済。
私は、2024年2月5日のWeb配信の回を担当します。2022年度のWebセミナーも担当しましたが、これは、Web上で視聴可能です。
2024年1月以降の「学校における体育活動での事故防止対策推進事業スポーツ事故防止セミナー」申込方法等は内容チラシをごらんください。
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日本部活動学会第6回研究集会「暴力・暴言・ハラスメントと部活動−この10年で変わったことと変わらないこと−」が2023年12月16日に筑波大学附属高等学校「桐陰会館」で開催されました。私は、基調報告「どうして部活動指導者は手を上げ、怒鳴るのか?」を担当しています。
運動部活動中の「暴力行為等」の原因については、
(1) 「学校における運動部活動を『スポーツ』ととらえるから、教育という部分がなくなり暴力が生じる」という意見、
(2) 「学校における運動部活動を『体育』ととらえるから、道徳教育の影響があって暴力の原因になる」という意見、
(3) 「学校における運動部活動における暴力の原因は、運動部活動において『勝利主義、競技志向』が強いことが原因である」という立場から「勝利を目指すから暴力に頼る」という意見、
等が主張されてきました。しかし、これらの意見はいずれも正しくありません。
日本のトップアスリートとその指導者は、「暴力・暴言・ハラスメント」に頼らないスポーツ指導の方法を知っています。
正しい原因の分析と正しい対策が共有化されることが肝要です。
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これまでも何度か「補償の問題」についても意見を述べてきましたが、2022年12月、慶應義塾大学で開催された日本スポーツ法学会第30回大会で「スポーツ事故補償の新たな制度に向けて」のテーマで基調報告をし、35年間考えてきたことをまとめて提言しました。
基調報告の内容は日本スポーツ法学会年報30号に掲載されました。
結論は、
(1) 現在の学校災害共済給付制度もスポーツ安全保険制度もなかなかすぐれた制度であるが、よりよい制度にするためには、いくつかの点で改善が必要なこと、
(2) 当事者の負担の少ない紛争解決制度は創設すべきこと、
(3) 予防に結びつける新たな制度を創設すべきこと、
の3点です。
よりよい、スポーツ事故補償制度の一助になることを願っています。
]]> 廃部が検討されるほどの重要な問題があったことは理解していますが、アメリカンフットボール部に所属している部員、来年度から日本大学に進学し、アメリカンフットボールをやろうと考えていた受験生たちの声は十分聞いた上での判断だったのでしょうか。
廃部以外の道はなかったのでしょうか。
報道ベースの情報しかない私としては、意見を述べることは躊躇していたのですが、「日大のライバル校・関西学院大学卒業生のアメフトファンが、廃部の見直しを求めるオンライン署名を開始しました。」という情報を得て、疑問は疑問として、公表しなければと思って、この文書を書いています。
日本大学には、拙速な判断だったと後悔しないように、利害関係を有する人々の意見を十分聞いて判断して欲しいと希望しています。
PS 産経新聞の12月1日のオピニオン「日大アメフト廃部 学生を守る気概ないのか」の意見(記事の存在に気がつくのが遅れました・・・・)には私も賛成です。
]]> 「これで防げる学校体育・スポーツ事故」シンポジウムの企画、日本スポーツ振興センター「学校災害防止調査研究委員会・スポーツ事故防止対策協議会」で御一緒している日本体育大学三宅良輔先生の御厚意です。
2016年にうかがって以来ですので、7年ぶりです。
体操部のみなさんの全力での演技に感心して見入った2時間でした。
高さがある演技は華やかです。
小・中・高校での運動会・体育祭での組立体操での事故予防を呼びかけている者の一人としては、学校の先生方が、十分な練習時間が確保できない状況で、日本体育大学体操部と同レベルの演技を安易に試みることがないように警鐘も鳴らさないとという思いと両方でした。
日本体育大学体操部のみなさんが、日本のスポーツ界で活躍していただくことを願っています。
]]> 東京弁護士会期成会が40周年の御祝いの会を開催してくれました。
会に寄せた一文です。
依頼者がいない課題に取り組んで
私は、労働、医療、教育、スポーツの分野で「命と健康を守る」という仕事をしてきた。他の分野に比べてスポーツ分野を手がけている弁護士が少ないので、私の仕事の内スポーツ分野が目立っているが、この4分野での仕事をしてきた。
弁護士登録30年を越えた頃から、「命と健康を守る」というライフワークについて、私自身でやるべきことは概ねやったと思い、これからは、このライフワークを引き継いでやってくれる若手にバトンを渡すのが課題だと考えて、仕事の軸足を決めている。
私がかかわった4分野の内スポーツの分野については、若手にバトンを渡す仕事は私が責任者のつもりで取り組んでいる。私が日本スポーツ法学会に入会をした1994年は、私が弁護士としては3人目の会員だった。それから30年。今では、250人を超える弁護士が会員。スポーツの各分野で現実に仕事をしている弁護士も増えた。「体育」・「法」の大学教員からは、スポーツにかかわる若手弁護士の裾野が広いのがウラヤマシイと言われている。
私は1984年に弁護士登録をし、労災職業病と過労死問題を主たる活動分野としていた。山田裕祥弁護士(27期、期成会)に連れられて、1988年に高校での水泳部活動中の事故と体操部活動中の事故の被災者に出会い、以後これまで、スポーツ事故の予防と補償の問題にかかわることとなった。それからは、スポーツ事故だけでなく、アンチ・ドーピング問題、競技団体の代表選手選考、競技団体のコンプライアンス違反事件、「暴力・暴言・ハラスメント」に頼らないスポーツ指導等様々なスポーツ法の分野にかかわることになった。
スポーツ事故の相談を担当して疑問に思った点が2つあった。1つは、なぜ同じ事故が繰り返されるのかということだった。2つは、高度後遺障害を負った被災者の生活の大変さであった。
1988年当時でも、プールでの競泳スタート(飛び込み)事故判例は10件を超えていた。水深の浅いプールで飛び込めば水底に衝突する事故が生じることは誰でも分かる。それではどれだけの水深があれば安全なのか?
過去の判例(1992年までの15判決におけるプールの水深は0.8m〜1.3m)を検討していくと、原告の請求を棄却した判決は、プールの水深は事故を防止できる十分な安全性があるとしてプールの設置管理の瑕疵を否定した。原告の請求を認容した判決も、水泳指導者の過失-水泳指導者が「異常な飛び込み方」をさせた、あるいはこれを看過したこと-を責任の根拠としていた。プールの「設置管理の瑕疵」を認めた判例は皆無であった。
当時の判例は、水深が0.8〜1mあれば、スタート台上から競泳のスタート(飛び込み)をしても、事故を防止しうる「通常有すべき安全性」を備えたプールであると判断していた。この判例の判断が間違っているのではないか。だから事故が繰り返されるのではないか。「補償」という点では、補償の根拠が国家賠償法第1条でも第2条でも同じである。しかし、「事故の予防」という点からは、事故の原因を正しく解明した判断にならなければ、事故は繰り返される。これが疑問の1つ目だった。
私は、この問題については、1992年、「飛び込み事故とプールの設置管理の瑕疵」(ジュリスト1013号)として発表し、さらに、日本スポーツ法学会第2回大会(1994年)で、「スポーツ障害・事故の法律的側面の現状と課題」(年報2号掲載)として報告した。1993年には、プール飛び込み事故の原告代理人の方々(石川元也・大阪、宗藤泰而・神戸、沼田敏明・秋田、増田博・鹿児島、市川俊司・福岡等の15名)と文部省への請願もした。
その後国際水泳連盟のプール水深基準の改定もあり、現在では、スタート台直下から前方6mの水深が1.35m未満では安全に欠けるというのが標準となった(日本水泳連盟プール公認規則第20条)。1970〜1980年代にスタート事故が多発したことに比べれば、最近はプールでの競泳のスタート事故は著しく減少したものの、事故は皆無には至っていない。
スポーツ事故予防については、日本スポーツ法学会で研究と提言を続けた。
「スポーツ活動中の競技者間の事故については、競技団体のルールに任せて、裁判所は口を出すな。」という競技団体関係者の主張に対して、2022年、他の研究者・若手弁護士と共同で、競技者間事故についての競技者、競技団体に求められる予防の責務、競技規則と法の関係を明らかにした「スポーツ事故の法的責任と予防-競技者間事故の判例分析と補償の在り方」(道和書院)を出版した。
2012年から日本スポーツ振興センター(JSC)「学校災害防止調査研究委員会・スポーツ事故防止対策協議会」委員として、スポーツ庁とJSCに厳しい意見と提言を言い続けている。しかし、スポーツ庁もJSCも立ち上がらない。「学校災害防止調査研究委員会・スポーツ事故防止対策協議会」委員有志は、「それではやってみせよう。」と、2017年からは「これで防げる学校体育・スポーツ事故」シンポジウムを実施した。これまでにシンポジウムは7回実施し、若手弁護士が企画・運営を担ってくれている。
2023年には、この企画を担ったメンバーで、「安全に注意しよう」で終わっている現在のスポーツ庁のガイドラインに対して、「学校災害共済給付制度事故データベース」(JSC)を分析して、科学的視点で具体的な事故予防の提言をする「これで防げる!学校体育・スポーツ事故-科学的視点で考える実践へのヒント」(中央法規出版)を世に送った。
スポーツ事故で高度後遺障害負った被災者への補償は、時代と共に改善されていった。これまでも何度か「補償の問題」についても意見を述べてきたが、2022年、日本スポーツ法学会第30回大会で「スポーツ事故補償の新たな制度に向けて」のテーマで基調報告をし(年報30号掲載)、35年間考えてきたことをまとめて提言した。
依頼者の弁護士への相談は「補償」である。スポーツ事故、労働災害職業病・過労死、医療過誤の「予防」も「補償制度」も、「依頼者がいない課題」という点で共通である。
依頼がなくても、誰かがやらなければ、悲しみにくれる被災者とその家族をなくすことはできないし、事故で大きなケガを負った被災者と家族の支えになることはできない。
私は信仰があるわけではないが、神様がいたら、「たいしたことはしなかったが、少しは人のためになる仕事をしたね。」と言ってもらえる人生でありたいと思っている。
市民窓口の苦情相談を担当していると、「この人は何のために弁護士になったのだろうか」と疑問に思う事案にしばしば当たる。「若い人には、『少しは人のためになる仕事をしたね。』と言える人生を歩んで欲しい」と思って、もうしばらく、「小言がうるさい」年寄り弁護士として仕事をしようと思っている。
対戦相手のNSSU Water Polo Clubはデレゲート(競技役員の名称)に対して、水球競技一般規則第3条に基づく抗議をし、第4ピリオド残り10秒でのタイムアウト後からの再試合を求めた。理由は、第4ピリオド残り10秒でのタイムアウト後に試合が再開された後、残り競技時間を示す時計が正常に動作しておらず、秀明大学水球クラブの13点目は競技終了後であることにあった。公式動画では1:19:14でプールサイドからボールがプールに投げ入れられ、残り10秒の試合が再開されたが、左上の残り時間を表示する時計は3秒ほど動いていない。
デレゲートは、NSSU Water Polo Clubの抗議を退けた。
NSSU Water Polo Clubは、水球競技一般規則第3条に基づき、控訴陪審へ上訴をした。
控訴陪審は、第4ピリオド残り10秒でのタイムアウトの試合再開後、残り競技時間を示す時計が正常に動作しておらず(約3秒間動作が遅れた)と認定し、秀明大学水球クラブの13点目は無効であると判断した。しかしながら、控訴陪審の判断時にはすでに秀明大学水球クラブメンバーは試合会場から退出しており、最後のタイムアウト時点からの再試合も、第4ピリオド終了時で同点であった場合のペナルティーシュート戦(水球競技規則WP11.3)も実施不能であったため、12-12で決勝戦が終了したとして両チームを優勝とした。
秀明大学水球クラブは、2021年11月11日、控訴陪審の決定を不服として、競技者資格規則(2022年2月26日改正前)第11条に基づく不服審査会に不服申立をした。
不服審査会は、2021年11月16日付で前項の不服申立を却下した。
秀明大学水球クラブは日本スポーツ仲裁機構に対して、2021年12月18日、?控訴陪審の決定、?2021年11月16日付不服審査会の決定の取消を求めた。
仲裁パネルは、2023年1月18日、前項の仲裁申立に対して判断をした。判断の結論は、?控訴陪審の決定の取消を求める請求については仲裁合意がないことを理由に却下し、?2021年11月16日付不服審査会の決定の取消についてはこれを認めた。⇒仲裁判断
日本水泳連盟は、不服審査会を再度招集し、不服審査会は、審理をした上で、2023年2月20日、再度、秀明大学水球クラブの不服申立を却下した。⇒不服審査会決定(PDFがダウンロードされます)
秀明大学水球クラブは、日本スポーツ仲裁機構に対して、2023年3月14日、?控訴陪審の決定、?2023年2月20日付不服審査会の決定の取消を求めた。
仲裁パネルは、2023年9月29日、前項の仲裁申立に対して判断をした。判断の結論は、?控訴陪審の決定の取消を求める請求については、仲裁合意の有無について判断することなく、取消理由がないとして棄却し、?2023年2月20日付不服審査会の決定の取消理由もないとして棄却した。⇒仲裁判断
以上の経過で、2021年10月31日の第97回日本選手権水泳競技大会水球水球競技女子決勝戦の結果をめぐる紛争は、1年+10か月+19日後の2023年9月29日に終了した。
本件は、2023年1月18日付仲裁判断と2023年9月29日付仲裁判断は、
(1) 不服審査会決定に対する判断においては、審理対象の決定が異なるとは言え、争点を共通にする点について、異なる判断をし、その結果主文も異なっていること、
(2) 2023年1月18日付仲裁判断は控訴陪審決定について仲裁合意がないと判断しているにもかかわらず、後の仲裁で同じ請求がなされ、2023年9月29日付仲裁判断では、仲裁合意がないこと、あるいは、日本スポーツ仲裁機構規則第48条の規程に基づく再訴を許さないとの判断をすることなく、実質判断をして、控訴陪審の決定の取消請求を棄却したものである。
私は、この事件には、?2021年11月16日付不服審査会決定、?2023年2月20日付不服審査会決定に、いずれも審査会委員として関与をしている者であり、両不服審査会決定の内容が全てであり、その余の意見を述べる立場にはない。
本件は、今後のスポーツ仲裁パネルのあり方にかかわる重要な問題を提起しているものである。仲裁パネルは競技団体が定めた規則の目的を正確に理解することが求められている。本件が、スポーツ仲裁にかかわる多くの人により議論がなされ、よりよいスポーツ仲裁となることを願っている。
PS 秀明大学水球クラブ、同クラブ監督及び同クラブ選手の3名は、日本水泳連盟及び競技役員3名を被告として、する損害賠償請求訴訟を、2023年10月30日東京地方裁判所に提訴し、現在訴訟係属中である。
日本水泳連盟の本訴訟に対する見解は、以下のとおりである。
JSAA-AP-2022-018仲裁パネルは、2023年9月18日、
「 デレゲートや控訴陪審の選任や中立性には疑義はないのであり、そうであれば、一般規則が控訴陪審に広い裁量権を与え、その判断を最終としていることを前提とすると、限られた時間と人員によって、トーナメント決勝戦終了間際の事態に対して迅速な対応を迫られたデレゲート及び控訴陪審の判断は、個別の点について疑義はあれども、全体として尊重することは許容される。
デレゲート及び控訴陪審の手続及び内容の違法をいう申立人の主張には、被申立人の不服審査会による本件2023年却下決定における判断に著しい非合理性ないし手続的瑕疵があるというに足る理由はなく、上記(3)における本仲裁パネルの結論(本件不服審査会の手続に関し、本件判断枠組みでいう?規則には違反していないが著しく合理性を欠く場合、?決定に至る手続に瑕疵がある場合のいずれにも当たるということはできない。)を左右するものではない。
(5) 前記2のとおり、本件2023年却下決定に取消事由が認められない以上、申立人の請求のうち「被申立人控訴陪審が2021年10月31日付けでなした第97回日本選手権水球競技大会水球競技女子決勝戦において最後の得点(申立人13得点目)を無効とした決定を取り消す」ことを求める部分は前提を欠き、仲裁合意の存否及び本案につき判断するまでもなく棄却する。」(17〜18頁)
と判断した。
上記仲裁判断により、本控訴陪審(ジュリー)決定も本不服審査会決定も、決定に至る手続に瑕疵がある場合にも当たらず、規則には違反していないが著しく合理性を欠く場合にも当たらないと判断され、原告秀明大学水球クラブの請求は否定されている。
しかるに、原告らは、本訴において、
(1) 原告秀明大学水球クラブの主張を否定したJSAA-AP-2022-018仲裁判断は誤っているとして、これと異なる判断を求め、
(2) 本控訴陪審(ジュリー)決定が、被告日本水泳連盟の規則に違反した決定に至る手続に瑕疵があることをもって、不法行為であるとして、被告らに損害賠償請求をするものである。
すでに、上記仲裁判断により、本控訴陪審(ジュリー)決定も本不服審査会決定も、決定に至る手続に瑕疵がある場合にも当たらず、規則には違反していないが著しく合理性を欠く場合にも当たらないと判断されているため、原告らの主張は失当である。
スポーツの試合における競技役員の判断について、スポーツ仲裁で争われ、結論がでているにもかかわらず、このスポーツ仲裁の判断と異なる事実認識で訴訟が提訴されることは異例である。
スポーツチーム、役員、選手によるこのような訴訟提訴が、スポーツ紛争の解決としてどのように評価されるべきかは重要な問題であり、判決を踏まえて改めて明らかにする。
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日本スポーツ協会(当時日本体育協会)、日本パラスポーツ協会(当時日本障害者スポーツ協会)、日本オリンピック委員会、全国高等学校体育連盟、日本中学校体育連盟の5団体による2013年4月25日「スポーツ界における暴力行為根絶宣言」の作成に携わり、その後は、日本スポーツ協会指導者育成部処分審査会委員、日本スポーツ少年団指導者育成部処分審査会委員、日本学生野球協会審査室委員として、毎日のように、スポーツ指導者の「暴力・暴言・ハラスメント」不祥事件に対応している者としては、ため息をつきたくなる毎日です。
「建前」としては、スポーツ指導における「暴力・暴言・ハラスメント」は「ダメ」という認識が少し広がったかなという印象ですが、抜本的な変革には至っていません。
スポーツ団体や教育委員会で講習をすると、主催者の共通した「グチ」は、「(今日の)講習に参加している人はだいたい大丈夫な人なんです。今日の話を聞いて欲しいと思っている人、ほっとくと危ないと心配している人は、何度誘っても来てくれないんです。」です。
スポーツ団体や教育委員会の講習だけでなく、これからスポーツ指導者になろうという人に考えてもらわないといけない!
私は、早稲田大学法科大学院のスポーツエンタテイメント法の授業を担当していましたが、高齢者の仲間に入る時期を節目に若手にバトンを渡して卒業済です。
引退モードでしたが、考え直して、今年度は、スポーツ指導者を志している大学生・大学院生を対象として話をする機会を設けてもらい、若手に「言い残す」仕事をしようと思っています。
来週は1週間大阪体育大学で出前講座をします(中尾豊喜体育学部教授にお世話になります)。6月には高校で、7月には国士舘大学で出前講座です(入澤充法学部特任教授にお世話になります)。
「『暴力・暴言・ハラスメント』に頼らず、すぐれた選手・チームを育てることができる指導者になる」という講座です。
法律家らしいスライドは1枚だけです。ほとんどが、日本スポーツ協会指導者育成部員のような話です。
私は、スポーツ指導者ではないので、山下智茂さん(石川星陵高校野球部元監督)、池上正さん(ジェフユナイテッド市原・千葉元育成・普及部コーチ)らすぐれた指導者の方々力を借りて受講者に考えてもらいます。
理解してほしい内容は、スポーツ指導に限らず、「指導」というキーワードに共通しています。最近、労働者が自ら命を絶った事件についての調査委員会を担当しました。企業の幹部社員の「指導」も全く同じだなと思っています。
本当は、90分枠で2枠欲しいのですが、スポットの講演ですと2枠は無理なので、2時間or1時間で詰め込みで、コーチングをしています。ティーチングはしません。コーチングとティーチングの違いが分からないという人は、まず指導の基本である、この2つの違いを理解してもらうところからスタートしてください。
「暴力・暴言・ハラスメント」に頼らず、すぐれた選手・チームを育てることができる指導者をめざしませんか?
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知人の廣田龍馬さん家族が、昨年の栃木いちご一会国体の馬術競技に参加するので、応援にいかなければと思っていたのですが、東京都軟式野球連盟の講習(講師担当)と日程が重なってしまい、リアル応援はできませんでした。
廣田夫妻はW優勝といううれしい結果でした。遅ればせながらの御祝いとファームの見学です。廣田さんの先代から引き継いできた、馬と馬術競技に対する思いを改めて知る機会になりました。
日々の仕事に追われて、宿題がなかなか仕上がらないのですが、ようやく大田原、那須と訪れることができました。今年のゴールデンウィークに感謝です。