柔道での任務完了
2013.06.22 Saturday
ようやく一息つけました。
今日は、午前9時半集合で、講道館で助成金問題全日本柔道連盟第三者委員会の最終報告の記者会見。午後は東京地方裁判所で13時〜17時の証人尋問。夕方からは日本バスケットボール協会の裁定委員会。
ということで、TVを見ている余裕はなかったので、基本的には、インターネット上の情報で報道を見ました。骨格は正確に報道されていると思いますので、ここでは3つだけフォローします。
1つは、全日本柔道連盟に厳しい話です。
助成金問題全日本柔道連盟第三者委員会は、第三者委員会ですから、その性格上、事実関係を調査し、その結果とこれに対する評価が依頼者である全日本柔道連盟に不都合な内容であっても率直に指摘するという役割を果たしました。
全日本柔道連盟の一部のメンバーから助成金問題全日本柔道連盟第三者委員会(以下「第三者委員会」と言います。)に対して、中間報告を考え直して欲しいという要望書が提出されました。正直驚きました。
不祥事があった時に、当該団体が、自ら調査して改善策を発表した時に、その内容が本当に正しい場合であっても、内部の調査であることを理由として、「お手盛り」として不十分と評価されてしまうリスクがあります。そのために、第三者に調査・改善策の提言を委ねるというのが第三者委員会を設置する目的の一つです。第三者委員会に調査・改善策の提言を委ねるということは、本来自らやるべきことを代行してもらい、その客観性を理由に、客観的な立場からの答申を受けてそれを実行することで、「お手盛り」と批判され、正しい対応をなお否定されることを予防することに意味があります。
それなのに、全日本柔道連盟の一部の方々が、第三者委員会の活動に影響を与えようという公然とした行動をし、これの公表を求めるなどという行為は、<客観的な調査・改善策の提言に自らの都合よい影響を与えようとした>ことを公表して欲しいと受け止められるリスクが高い行為であり、自らの首を締める行為以外のなにものでもありません。最後には、この行動に上村会長まで加わってしまいました。こんな簡単なことが解っていない全日本柔道連盟の執行部に驚いたのです。
第三者委員会は、「要望書」の内容については、真摯に検討し、その中で、委員会が把握していない具体的な事実の指摘があれば、これを踏まえてさらに検討をしようとしました。しかし、「要望書」の内容は、このような具体的な事実の指摘はなく、「中間報告」を受け入れられないという評価が中心でした。この点は、読者の方が報告書添付の「要望書」を読んでいただき御自身で評価していただければと思っています。
第三者委員会としては、報告書に「要望書」の件を盛り込むことは、調査の過程の事実としてはパスするわけにはいかないものの、本当に、全日本柔道連盟として「要望書」を最終報告書に添付することを希望するのかという点は、複数回にわたって確認をしました。結論は、最終報告書に添付をして欲しいという回答でした。
そんなに難しくない判断だと思うのですが、このような結論が提示されること自体が、世間の常識との乖離を示しています。このような判断を重ねる執行部が、全日本柔道連盟の舵取りをしている現状が是正されないと、全日本柔道連盟に明日はないと思っています。全日本柔道連盟の自律的、自主的な改善を期待したいと思っています。
個人的には、かねてから上村会長はJOC理事として見識のある方だと思っており、日本のスポーツ界の明日を担ってもらえる方の一人だと思って期待していました。しかし、上村会長が、岸記念体育館から講道館に戻り、周囲の方々と相談された後にお話しをすると、あれ???
もう一つは、制度上の問題です。これはスポーツ振興センターに厳しい話です。
全日本柔道連盟は、近年、選手の強化をチームとして行う方針をとっていました。一方、1990年に設けられたスポーツ振興基金助成金制度(今回はこの制度の中の「選手・指導者スポーツ活動助成」のうちの、指導者に対するスポーツ活動助成金)は、個人助成制度で、選手の強化をマンツーマンで行うことを前提として、指導者に経費助成を行うという内容です。スポーツ振興基金助成金制度が発足した20年前は、この制度が実態に合致していたのかもしれませんが、現在の強化方針と合致した制度でないことが、今回の問題の背景として指摘できます。
だからと言って今回の全日本柔道連盟の問題が免責されるわけではありません。全日本柔道連盟の一部の方々が主張する「スポーツ振興センターも容認してきたことだ」という趣旨の主張は、事実に反するだけでなく、全日本柔道連盟の自らの遵法精神に欠けた行為を棚に上げた主張で、反論にはなりません。
しかし、第三者委員会が、スポーツ振興センターの対応についても意見している点は正しく理解して欲しいと思います。この点は、スポーツ振興センターは、もう十二分に理解してもらっていると思っています。この部分は、主として報道関係者と全日本柔道連盟関係者に理解を求めているつもりです。
最後に、もう一つ。
今回の問題は、全日本柔道連盟の組織としての問題であり、助成金対象者として強化委員長から指名された個々の助成金受領者は、別な視点からは被害者としての側面があります。
このような、事件の本質を見ないまま、助成金を受領していた教員が不正行為を行った張本人として、行政上の処分をしようとしているという動きがあるとの情報があります。
私は、個人的には、このような地方自治体の教育行政の対応については到底賛成できません。
地方自治体の教育行政が、事件の本質をよくみた上で適切な対応を取られることを強く希望しています。
今日は、午前9時半集合で、講道館で助成金問題全日本柔道連盟第三者委員会の最終報告の記者会見。午後は東京地方裁判所で13時〜17時の証人尋問。夕方からは日本バスケットボール協会の裁定委員会。
ということで、TVを見ている余裕はなかったので、基本的には、インターネット上の情報で報道を見ました。骨格は正確に報道されていると思いますので、ここでは3つだけフォローします。
1つは、全日本柔道連盟に厳しい話です。
助成金問題全日本柔道連盟第三者委員会は、第三者委員会ですから、その性格上、事実関係を調査し、その結果とこれに対する評価が依頼者である全日本柔道連盟に不都合な内容であっても率直に指摘するという役割を果たしました。
全日本柔道連盟の一部のメンバーから助成金問題全日本柔道連盟第三者委員会(以下「第三者委員会」と言います。)に対して、中間報告を考え直して欲しいという要望書が提出されました。正直驚きました。
不祥事があった時に、当該団体が、自ら調査して改善策を発表した時に、その内容が本当に正しい場合であっても、内部の調査であることを理由として、「お手盛り」として不十分と評価されてしまうリスクがあります。そのために、第三者に調査・改善策の提言を委ねるというのが第三者委員会を設置する目的の一つです。第三者委員会に調査・改善策の提言を委ねるということは、本来自らやるべきことを代行してもらい、その客観性を理由に、客観的な立場からの答申を受けてそれを実行することで、「お手盛り」と批判され、正しい対応をなお否定されることを予防することに意味があります。
それなのに、全日本柔道連盟の一部の方々が、第三者委員会の活動に影響を与えようという公然とした行動をし、これの公表を求めるなどという行為は、<客観的な調査・改善策の提言に自らの都合よい影響を与えようとした>ことを公表して欲しいと受け止められるリスクが高い行為であり、自らの首を締める行為以外のなにものでもありません。最後には、この行動に上村会長まで加わってしまいました。こんな簡単なことが解っていない全日本柔道連盟の執行部に驚いたのです。
第三者委員会は、「要望書」の内容については、真摯に検討し、その中で、委員会が把握していない具体的な事実の指摘があれば、これを踏まえてさらに検討をしようとしました。しかし、「要望書」の内容は、このような具体的な事実の指摘はなく、「中間報告」を受け入れられないという評価が中心でした。この点は、読者の方が報告書添付の「要望書」を読んでいただき御自身で評価していただければと思っています。
第三者委員会としては、報告書に「要望書」の件を盛り込むことは、調査の過程の事実としてはパスするわけにはいかないものの、本当に、全日本柔道連盟として「要望書」を最終報告書に添付することを希望するのかという点は、複数回にわたって確認をしました。結論は、最終報告書に添付をして欲しいという回答でした。
そんなに難しくない判断だと思うのですが、このような結論が提示されること自体が、世間の常識との乖離を示しています。このような判断を重ねる執行部が、全日本柔道連盟の舵取りをしている現状が是正されないと、全日本柔道連盟に明日はないと思っています。全日本柔道連盟の自律的、自主的な改善を期待したいと思っています。
個人的には、かねてから上村会長はJOC理事として見識のある方だと思っており、日本のスポーツ界の明日を担ってもらえる方の一人だと思って期待していました。しかし、上村会長が、岸記念体育館から講道館に戻り、周囲の方々と相談された後にお話しをすると、あれ???
もう一つは、制度上の問題です。これはスポーツ振興センターに厳しい話です。
全日本柔道連盟は、近年、選手の強化をチームとして行う方針をとっていました。一方、1990年に設けられたスポーツ振興基金助成金制度(今回はこの制度の中の「選手・指導者スポーツ活動助成」のうちの、指導者に対するスポーツ活動助成金)は、個人助成制度で、選手の強化をマンツーマンで行うことを前提として、指導者に経費助成を行うという内容です。スポーツ振興基金助成金制度が発足した20年前は、この制度が実態に合致していたのかもしれませんが、現在の強化方針と合致した制度でないことが、今回の問題の背景として指摘できます。
だからと言って今回の全日本柔道連盟の問題が免責されるわけではありません。全日本柔道連盟の一部の方々が主張する「スポーツ振興センターも容認してきたことだ」という趣旨の主張は、事実に反するだけでなく、全日本柔道連盟の自らの遵法精神に欠けた行為を棚に上げた主張で、反論にはなりません。
しかし、第三者委員会が、スポーツ振興センターの対応についても意見している点は正しく理解して欲しいと思います。この点は、スポーツ振興センターは、もう十二分に理解してもらっていると思っています。この部分は、主として報道関係者と全日本柔道連盟関係者に理解を求めているつもりです。
最後に、もう一つ。
今回の問題は、全日本柔道連盟の組織としての問題であり、助成金対象者として強化委員長から指名された個々の助成金受領者は、別な視点からは被害者としての側面があります。
このような、事件の本質を見ないまま、助成金を受領していた教員が不正行為を行った張本人として、行政上の処分をしようとしているという動きがあるとの情報があります。
私は、個人的には、このような地方自治体の教育行政の対応については到底賛成できません。
地方自治体の教育行政が、事件の本質をよくみた上で適切な対応を取られることを強く希望しています。