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@パークス法律事務所
また一人犠牲者が・・・・

 東京新聞(TOKYO Web)2016年9月27日朝刊は、都立墨田高校で授業中にプール飛び込み指導中に、重傷を負った事故を報道した。  

 

 また、同じような事故で犠牲者が出た。

 

 報じられているプールの水深は、水底への衝突場所で1.1mしかない。

 

 スタート台は使用していないというものの、安全なスタート指導について習熟した指導者でない限り、このような浅い水深で安全な競泳のスタート練習を行うのは相当な困難を伴う。

 

 まして、この事故時の指導方法は到達水深が深くなるリスクが高い指導方法である。

 

 この事故は、「保健体育の男性教諭(43)がスタート位置から1m離れたプールサイドで、足元から高さ約1mの水面上にデッキブラシの柄を横に掲げ、生徒に柄を越えて飛び込むよう指示。生徒は指示通り飛び込み、水深1.1mのプールの底に頭を打ち付け、救急搬送された。」(前記東京新聞報道)という事故態様である。東京新聞に掲載された事故時の状況図は下記のとおりである。

 

 

 私は、日本水泳連盟編「水泳コーチ教本」(第3版)472頁で、第2版(471頁)に引き続き、競泳でのスタート練習で到達水深が深くなる練習方法として、下記のような図を示して、注意を喚起していた。

 

 

 さらに、2016年8月号の月刊水泳(日本水泳連盟機関誌)において、競泳でのスタート事故が学校において生じている例が多い現状について、「スイミングクラブと異なり、学校では必ずしも水泳指導に関して専門教育を受けていない教員が指導せざるをえないという環境下で、水泳でのスタートにおける頭頚部損傷事故は多発した。」と指摘した。  

 

 そもそも、こんなに浅いプールで、学校の授業で、教員が生徒に安全にスタート練習をすることを求めるのは、教員にも生徒にも無理を強いることでしかない。

 

 加えて、正しい知識を伴わないままの競泳でのスタート練習が行われている現状は、安全の点からも水泳競技の普及・競技力の向上の点からも憂慮される。

 

 すでに、東京都教育委員会は、平成12〜13年に、プールでの飛びこみ事故予防の点では、全国の中で先進的な取り組みをしてきたが、もう一度原点に立ち戻って、プールでの飛び込み事故予防に取り組んでほしい。

 

 これ以上悲しい思いをする生徒と家族を生まないために。

posted by koichi | 18:58 | スポーツ外傷・障害 | comments(0) | trackbacks(0) |