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@虎ノ門協同法律事務所
医師としての姿勢
 石橋徹Drとは20年以上の付き合いとなります。

 「石橋徹Drはすごい」と思うのは、医師として優秀であることはもちろんですが、患者さんの苦しみを理解して、その原因を突き止めて、なんとか解決してあげようという姿勢です。

 当たり前のことと思われるかもしれませんが、難治性の患者さんを目の前にして、「原因不明だ」、「心因性のものだ」と逃げることをせず、患者さんと向き合い続けることは医師にとって容易なことではありません。

 数日前にも、このような医師としての姿勢について考えさせられるできごとがありました。

 5月19日(木)は、午前10時から午後5時20分まで証人尋問。この事件も石橋先生からの依頼です。当時大学生だった女性が、ある研究プロジェクトに被験者として協力した際の採血で事故にあった損害賠償請求事件です。

 採血時に採血針で正中神経を傷つけることは頻度としては多くはありませんが、正中神経は採血の対象となる尺側皮静脈や肘正中皮静脈静脈の近傍を走行しているので、針先を静脈内にしっかり留めておかなければ、正中神経損傷を引き起こします。

 私は、この事件を含めて現在3件の採血時の神経損傷⇒CRPS(複合性局所疼痛症候群)を発症した事件を担当しています(その外に終了事件が1件)。2件は石橋Drから、1件は私から石橋Drに持ち込んだ案件です。

 尋問の対象の証人・当事者は合計4人。採血担当の看護師(被告)、研究プロジェクト主催者の一人で受傷直後に被災者を診ている医師(被告、整形外科医ではありません)、その後の治療を担当した整形外科医(証人)、被災者本人(原告)です。

 私は、両医師の尋問を担当しました。
 
 事故後5日目から約3か月治療を担当した整形外科医(証人、被告ではない)は、手の外科では高名な医師です。
 
 この整形外科医は、受傷直後に被災者を診ている医師(被告)からの紹介で被災者を診療しています。「診療依頼票(外来用)」の回答欄には、「正中神経障害 針による損傷が疑われます」と記載されています。

 3か月の診療を終えての後医への「紹介・診療情報提供書」には、
正中神経障害(カウザルキー様pain) 採血検査針刺入部(肘窩部)に鋭い痛み出現。以后正中神経領域のシビレ、疼痛強く4月2日に当科を受診しました。運動麻痺はなく正中神経領域の灼熱感が認められその他上肢全体の疼痛、頭痛、体調不良など多彩な症状が出現してきております。針による神経障害と考えられますが、現在約3ヶ月を経過して症状に改善傾向は見られません。各種薬剤に対する反応もなく経過観察しております」
と記載されております。

 しかしながら、この高名な整形外科医は、訴訟に提出された意見書では、採血針による正中神経損傷を否定し、複合性局所疼痛症候群も否定しています。  !!!??? (゚-゚)

 被告の医師と同じ大学病院の医師(当時)ですから、かばいたいという気持も分からないわけではありませんが、「自然科学に携わるものとしての良心は?」と尋ねたくなります。

 そして、「真実をねじ曲げて仲間をかばうことで、患者がどれだけ傷つくか考えたことがありますか?」、「医師として恥じることはありませんか?」と尋ねたくなります。

 私の尋問は、この整形外科医が作成した診療録を自身で説明してもらうことを主としたものでした。

 診療録上は、正中神経の損傷も、複合性局所疼痛症候群の存在も明らかですので、診療録を説明してもらえば、自ずと何が真実かは明らかになります。さすがに、この整形外科医は、自身の診療録上の記載を否定することはありませんでした。

 仕事の上では、この大学病院の整形外科の准教授には、別件の複合性局所疼痛症候群の患者さんについての意見を御願いして、きちんとした意見をいただいております。他科の医師の方々にもお世話になっております。

 大学病院がというよりは、個々の人によるのだろうと思います。石橋Drだって、この大学出身なのですから。

 個人的にも、大変お世話になっている大学病院なのですが、このようなケースに直面するのは大変残念です。
 
 プレッシャーをかけたなどと言われるのは不本意ですので、尋問前には接触せず、尋問終了後にこの整形外科医にはきちんと挨拶をしてと思っていたのですが、尋問終了後直ちに法廷を出られてしまったので、お話しをし損ねてしまいました。
 
 お話しをする機会はありませんでしたが、医師としての技量が優秀であるだけでなく、医師としての姿勢を考えていただけることを願っています。
posted by koichi | 11:32 | 医療 | comments(0) | trackbacks(0) |
転倒予防医学研究会
  10月3日に開催された転倒予防医学研究会にはゲストとして赤星憲広氏(野球評論家、元阪神タイガース)が講演を担当しました。「人生七転び八起き」。小柄な赤星選手が努力を重ね、時には挫折しそうになりながら、歩んできた話が紹介されました。
 なかなかの苦労人なのですね。
 中心性脊髄損傷のけがを乗り越えて、野球評論家として活躍されることを願っています。

 今年の研究会には、鈴木弘美弁護士と2人で、「転倒予防 法律セミナー」を担当したこともあり、控室で記念写真

 手前左から山本博司「運動器の10年日本委員会」委員長/武藤芳照「転倒予防医学研究会」代表世話人/赤星憲広氏/田名部和裕
「運動器の10年日本委員会」事務局

 後列の右が鈴木弘美弁護士、その左が私。

 
今年の法律セミナーは、鈴木弁護士が転倒した被災者や家族の代理人役、私が施設管理者ないし介護者側代理人役ということで、双方の主張をそれぞれ述べてまとめるというやり方を採用しました。

 このやり方は、それぞれの言い分と争点が分かりやすいと好評でした。



 サブ会場でしたが、立ち見まででる盛況ぶりでした。

 
来年はもう少し練り込んで、本会場で行う予定です。

 【写真提供 転倒予防医学研究会


posted by koichi | 09:50 | 医療 | comments(0) | trackbacks(0) |
医療機関での身体拘束を考える
   身体拘束廃止の立法化を求める会 東京集会〜人間として尊重される医療を実現するために〜に参加をしました。

 生存権裁判を京都で支えている舟木弁護士から2日前に「身体拘束廃止の立法化を求める会 東京集会〜人間として尊重される医療を実現するために〜」に参加を呼びかけるE-mailをもらいました。集会の要綱をざっと見ていたら、報告を担当しているのが、これも司法研修所同期の弁護士の中谷雄二さんでしたので、「オッ!!」と思い、中谷さんに激励の電話をしました。



 実は舟木弁護士からE-mailをもらった2日前に、私は、「転倒予防の知識と実践プログラム 施設で暮らす高齢者の転倒リスクと予防対策-転倒事故判例から」を脱稿してところでした。私は、この原稿の中で、「夜間帯等の常時の見守りが困難な状況下における転倒・転落予防のための監視と身体拘束について」という部分で、身体拘束を違法とした名古屋高裁判決を取り消して、適法とした最高裁2010年1月26日判決(判例タイムズ1317-109)を紹介をしています。

 原稿を書いた段階では、取り消された名古屋高裁判決は、まわりくどい事実認定と判示である一方、最高裁判決の判示はごく当然という印象を持ちながら読んでいました。中谷さんは、この最判に批判的な立場ということがわかり、詳しく事情を聞こうと言うことで、集会に参加をすることにしました。
 中谷さんの話では、最判の一般論(大枠)は名古屋高裁判決と同一の枠組みであり、そこは問題ないが、最高裁は法律審であるにもかかわらず、名古屋高裁の判決の事実認定を事実上変更して、結論を変更しているという指摘でした。名古屋高裁判決は、不適切な医療によりせん妄状態を惹起しているとはっきり判断すべきところ、そこをあいまいな判断にしている点に弱点があったとの中谷さんの話を聞いて、名古屋高裁の判決が回りくどい判示をしていた事情がよくわかりました。

 私が参加している転倒予防研究会(前記の原稿もこの関係での執筆依頼です)は、基本的に身体拘束をしないことを前提とした上で、どのように転倒・転落事故を予防するかという発想で議論がなされていました。

 直接議論の対象としたことはありませんが、身体拘束について3要件(\敘性(患者本人又は他の患者等の生命又は身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと)、非代替性(身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する介護方法がないこと)、0貉性(身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること))を満たさない拘束は許されないということは当然であると考えていましたが、医療界では必ずしも普遍的で共通の認識とはなっていないということがよくわかりました。

posted by koichi | 15:44 | 医療 | comments(0) | trackbacks(0) |
医療ADR
 医療事故に付随した患者と病院との転院をめぐるトラブルを、昨日、医療ADR(第二東京弁護士会)で無事に解決をできました。
 医療ADRの利用は初めてでしたが、病院側代理人から勧められて(?)の患者側代理人としての申立でした。
 難しい事案でしたが、病院側代理人も誠実に解決に努力をしてくれ、あっせん人も精力的に解決に努力をしていただき、円満な解決に至りました。
 関係者には感謝しております。
 あっせんによる解決が望ましい事案では、医療ADRの出番は多くあると思います。

 
posted by koichi | 17:52 | 医療 | comments(0) | trackbacks(0) |
熱血漢の優秀なドクター
 私の友人には、熱血漢で優秀な医師が多くいます。石橋徹医師もその一人。

 私が石橋医師と知り合った切っ掛けは、「RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)」が判例集に最初に登場した東京地裁1992(平成4)年9月24日判決の事件です。

 この事件は、教員が授業中に受けた軽い捻挫で休業を余儀なくされていた事件です。公務災害認定をめぐる事件で、岡村親宜弁護士と私が最初の相談を受けた時には受傷から3年が経過していました。でも復職できない状態でした。

 「『捻挫』だけで数年の休業が必要などということはおかしい、まずはちゃんとした診断を受けるように」と助言したところ、患者は各地の整形外科を受診し、最終的に東京医科歯科大学でようやくRSDの診断を受けた方でした。

 私は、この事件の患者代理人として公務外認定処分の取消請求訴訟を担当したのですが、当時は医師の中でもRSDが十分認識されていなかった状況でした。専門医の意見書を得ようとしていたところ出会ったのが石橋医師(当時都立大塚病院)でした。石橋医師は、海外の多数の文献を基礎資料として詳細な意見書を作成し、判例の理由中にもその意見書は引用されています。

 石橋医師のスタンスははっきりしていて、実際に苦しんでいる患者がいるのに、確たる根拠もなく、「心因性のものだ」、「原因不明」などと患者の苦しみと正面から向き合わないのはおかしいというものでした。

 石橋医師のこのような姿勢は医師としては当然のことなのでしょうが、実践するのはなかなか難しいのが現状かと思います。

 この事件を契機に石橋医師とは、これまで何件もの事件に一緒に取り組んできました。

 医源性(医療行為が原因)の傷害もありますので、石橋医師から医療事故で苦しんでいる患者さんの事件を紹介されるということもあります。現在、医源性の事件としては、静脈血採血に伴う正中神経損傷事件2件、動脈血採血に伴う正中神経損傷事件1件が担当事件として訴訟係属中です。

 石橋医師は、軽度外傷性脳損傷にも取り組んでいる関係で、労働災害補償の後遺障害認定等級をめぐる行政訴訟の被災者側代理人としても取組中です。

 興味がある若手弁護士の方共同で事件を担当してみませんか?
posted by koichi | 16:30 | 医療 | comments(0) | trackbacks(0) |